3Mのカッティングシートとは?スコッチカルJ・XLの違いとダイノックとの差

3Mのカッティングシートとは?スコッチカルJ・XLの違いとダイノックとの差 DIY・ハンドクラフト・ガーデニング

「3Mのカッティングシート」を探すと、スコッチカルやダイノックなど、似た名前の製品がいくつも出てきて迷いますよね。

看板の切り文字やステッカーに使う3Mのカッティングシートは、「3M™ スコッチカル™ フィルム」という製品群です。3Mの資料では「マーキングフィルム」と呼ばれています。

この記事では、3Mが公開している見本帳と製品説明書をもとに、スコッチカル フィルムのJシリーズとXLシリーズの違い、ダイノック フィルムとの違い、貼る前に確かめたい注意点をまとめました(2026年10月17日確認)。

3Mのカッティングシートは「スコッチカル フィルム」

3Mのサイン・ディスプレイ関連のカタログページでは、「3M™ スコッチカル™ フィルム」として次の2つのシリーズの見本帳が公開されています。

  • Jシリーズ:一般長期屋外用のマーキングフィルム。カッティング性能を前面に出したシリーズ
  • XLシリーズ:特殊コーティングで耐候性・防汚性・汚染回復性を高めたシリーズ

どちらも塩化ビニル製です。XLシリーズには、看板・フリートマーキング向けの不透過タイプと、内照サイン・ウィンドウディスプレイ用の透過タイプがあります。Jシリーズは一般長期屋外用のマーキングフィルムとされています。

同じ3Mの「ダイノック フィルム」は、壁や扉などに貼る化粧フィルムで、用途が違います(違いは後半で説明します)。

▶ 動画で確認:スコッチカル施工方法の公式動画

3M Japan公式チャンネルによる、スコッチカル ペイントフィルムCPG-Ⅲの施工方法の解説動画です。スコッチカル フィルムの権利元が自ら貼り方を示しているため、製品の位置づけを確かめる補足として置きます。

出典:3M Japan「3M™ スコッチカル™ ペイントフィルムCPG-Ⅲ施工方法」(YouTube・約4分)

JシリーズとXLシリーズの違い

JシリーズとXLシリーズの違い

3Mの「スコッチカル™ フィルムシリーズ 別冊」(2024年版)の特性概略一覧表から、主な違いを抜き出しました。

項目 Jシリーズ XLシリーズ
屋外耐候性の目安 約5年(一部の品番は約3年) 約8年(一部の品番は約5年)
標準のロール 幅1,000mm×20m(一部の品番は50mもあり) 幅1,000mm×50m(一部の品番は幅1,220mm)
厚さ(代表値) 0.08mm(SC001EAは0.09mm) 0.08〜0.11mm
最低施工温度 10℃(透過タイプは16℃) 10℃(透過タイプは16℃)
使用可能温度 −30℃〜80℃(連続使用の場合は65℃)
色数(別冊2024年1月版の掲載数) 207色(不透過152色・透過55色) 標準色293色(不透過190色・透過103色)
表面 — 耐汚染コート層(特殊コーティング)

耐候性の年数は、日本国内の標準的な環境で屋外の垂直なサインに貼った場合に予想される年数です。3Mは「耐候年数を保証するものではありません」と明記しています。

Jシリーズ:切り文字向けのスタンダード

Jシリーズは、2025年版の見本帳の表紙に「約5年の耐候性」「全色優れたカッティング性能」「豊富なカラーバリエーション」の3点が挙げられています。

  • 別冊では、カッティング性能について「不透過/透過タイプ 業界で唯一全色対応」とうたっています
  • ただし、SC001EA(ホワイトEA)にはカッティング性能がありません。SC001EAの製品説明書でも、小さな切り文字の作成には適さないとされています
  • 耐候性は約5年ですが、SC301・SC308・SC804・SC805は約3年です
  • 標準サイズは1,000mm×20m巻。SC001・SC501など一部の品番には1,000mm×50mもあります
  • 見本帳には、受注製造品に「受」の印が付いています

SC001EAは、エア抜けしやすいコンプライ™粘着剤を使った下地隠ぺい性の高い白色フィルムで、下貼り用途にも使えるタイプです。製品説明書では、水貼りは膨れ・剥れの原因になるので避けるよう書かれています。また、再剥離機能が無いため、剥がしたときに下地に糊が残る場合があります。

XLシリーズ:屋外で長く使う看板向け

XLシリーズは、表面の特殊コーティングで、色の変化や光沢の低下を抑えたシリーズです。3Mは「3Mで最も実績のあるフィルム」と紹介しています。

  • 耐候性は約8年ですが、JS1300XL・JS1800XL・JS6800XLシリーズは約5年です
  • 不透過タイプ(JS1000XL・JS6000XLシリーズなど)と、内照サインやウィンドウディスプレイ向けの透過タイプ(TP3000XL・TL5000XLシリーズ)があります
  • 汚れは清掃によって落としやすく、汚染回復性能試験では回復率91.2%(3Mの社内試験)とされています
  • 2024年4月版のXL見本帳では、JS1203XL・JS1207XL・TP3228XL・TP3402XL・TP3718XLに「在庫限りで廃番になります」との印があり、販売店で在庫を確認するよう案内されています。表の293色は、それより前の別冊(2024年1月版)の掲載数です

XLシリーズと同じページに載っているセルフクリーニングシリーズ(JS1000SCL・JS6000SCL、標準色9色)は、油分を含んだ汚れを雨で洗い流す性能を持たせたものです。雨だれ汚れを完全に防ぐものではなく、表面の清掃にアルコールなどの有機溶剤を使うとセルフクリーニング性能が損なわれるため、柔らかい布で水拭きするよう案内されています。

また、JS1000XLよりも下地を隠す力を高めた白色の「JS2010XL」(高隠ぺいフィルム)もあり、既設の看板の上に貼って下の色柄を見えにくくする用途に使われます。ただし、内照看板(中から光る看板)の目隠しには遮光性が足りず、使えないとされています。

ダイノック フィルムとの違い

ダイノック フィルムとの違い

「3M カッティングシート」と一緒によく調べられるのが、同じ3Mの「ダイノック™ フィルム」です。3Mの資料で見ると、そもそもの用途と形状が違います。

項目 スコッチカル フィルム(J・XL) ダイノック フィルム
3Mの位置づけ マーキングフィルム 粘着剤付き化粧フィルム
主な使い場所 Jは一般長期屋外用。XLは看板・フリートマーキング(不透過)、内照サイン・ウィンドウディスプレイ(透過) 原則として内装
厚さ 0.08〜0.11mm(代表値) 約0.2mm(一部シリーズは異なる)
ロール 幅1,000mm(一部1,220mm) 幅約1,220mm×約50m(品番により異なる)

ダイノック フィルムは、木目柄や石目柄などがある粘着剤付きの化粧フィルムで、壁・扉・カウンターなどの内装に使われます。3Mの製品情報冊子では原則として内装用途とされ、半屋外や軒下・軒天に貼る場合は、屋外用のEXシリーズかお日様マークの品番から選ぶよう案内されています(EXシリーズの後継はEXRシリーズ)。EXシリーズは在庫限りで販売終了となり、後継のEXRシリーズが2026年3月17日に発売されています。

切り文字を作って看板などに貼りたいならスコッチカル フィルム、壁や扉の見た目を木目などに変えたいならダイノック フィルム、という分かれ方です。

貼る手順(平面・角・曲面)と気泡の抜き方は「ダイノックシートの貼り方|平面・角・曲面の手順と気泡の抜き方、剥がし方」にまとめています。

ダイノック フィルムを買える場所については、ダイノックシートはどこで売ってる?ホームセンター・ユザワヤ・カインズ・東急ハンズなど取り扱い店舗を調査でまとめています。

▶ 動画で確認:ダイノック フィルム公式施工動画

3M Japan公式による、ダイノック フィルムを天板に貼る施工マニュアル動画です。内装向けの化粧フィルムがどう施工されるかを権利元の映像で確認でき、スコッチカルとの違いを理解する助けになります。

出典:3M Japan「3M™ダイノック™フィルム施工マニュアル動画_天板編」(YouTube・約4分)

スコッチカル フィルムを貼る前に確かめたいこと

スコッチカル フィルムを貼る前に確かめたいこと

J・XLシリーズの別冊には、貼り付ける下地や施工時の注意がまとめられています。カッティングシートとして使う前に、次の点を確認しておきましょう。

貼れる下地と前処理

別冊の「貼り付け基材別下地処理」では、亜鉛鉄板(トタン板)・ステンレススチール・アルミニウム・焼付塗装鋼板・ガラス・プラスチックが挙げられ、前処理は「脱脂および汚れの除去」、プライマー処理は「不要」となっています。

  • プラスチック:材質によっては含まれる成分で気泡が出ることがあるため、事前の試験が必要です。経験的には硬質塩ビ・アクリル・FRPは問題ないようですが、ポリエチレン・ポリプロピレン・フッ素樹脂は十分な接着力が得られないため、おすすめできないとされています
  • Jシリーズのメタリックタイプは、アウトガスで気泡が出るため、プラスチックへの使用は避けるよう書かれています
  • ステンレス:SC900やTSCシリーズ、JS1900やTP・TLシリーズなど光を透過するタイプは、粘着剤が変質することがあるため使用を避けるよう注記があります。不透過タイプでも、ステンレスでは下地特有の蓄熱効果により、環境条件によってはほかの下地より耐候性が劣ることがあるとされています
  • どの下地でも、貼ったあとは端部にエッジシール処理をするか、フィルム(Jシリーズは SC900、XLシリーズは透明フィルム JS1900XL)を貼るなどの処置をするよう案内されています

温度・ガラス・色の注意

  • 最低施工温度は不透過タイプで10℃、透過タイプで16℃です
  • 大きな面積に貼る場合は、専用の湿潤液を使った水貼りがすすめられています(SC001EAは前述のとおり水貼りを避けます)
  • 屋外に面したガラスに貼る場合は、あらかじめ熱割れについての注意が必要です
  • 看板の同じ面や、つながっている面に同じ色を貼るときは、必ず同じロットのフィルムを使うよう書かれています
  • 室内の光と自然光では色が違って見える場合があります

XLシリーズの見本帳では、実物の色味は、カットサンプルを取り寄せて確かめるよう案内されています。3Mのカタログページでは、J・XLシリーズの見本帳をPDFで公開しているほか、スコッチカル フィルムのサンプルの請求もできます。

まとめ

  • 3Mのカッティングシートは「スコッチカル™ フィルム」。主なシリーズはJシリーズとXLシリーズ
  • Jシリーズは屋外約5年・20m巻が標準で、カッティング性能を前面に出したシリーズ(SC001EAは除く、約3年の品番もあり)
  • XLシリーズは特殊コーティングで屋外約8年・50m巻が標準(約5年のシリーズや、在庫限りで廃番の品番もあり)
  • ダイノック フィルムは壁や扉などに貼る化粧フィルムで、原則内装用。屋外は屋外用シリーズ(EXの後継はEXR)かお日様マークの品番
  • 貼る前に、下地の材質・施工温度・ロットを確認する

品番ごとの細かい条件は、3Mの見本帳や製品説明書で確かめてから選んでくださいね。

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