ツバメの巣作りは3〜5月ごろ、飛来直後の様子で見分けられる
ツバメが巣を作るかどうかは、飛来してから数日〜数週間の行動を見るとおおよそ見当がつきます。
結論からお伝えすると、本州では3月下旬〜5月ごろに巣作りが始まることが多く、同じ軒先を何度も行き来したり、泥をくわえて飛んだりする様子が前兆といえます。
この記事では、巣作り前のサイン、選ばれやすい家の条件、巣を作らせたくない場合の事前対策、巣ができてしまったときの考え方を順番にまとめます。
巣を作ってほしい方にも、できれば避けたい方にも役立つように、どちらの立場でも判断しやすい情報をそろえました。
ツバメは春になると南の暖かい地域から日本へ渡ってきて、夏のあいだに子育てをし、秋になるとまた南へ戻っていく渡り鳥です。日本の人家の軒先で子育てをする身近な鳥として、昔から親しまれてきました。
巣作りの時期は、ツバメの行動を知っていれば意外と読みやすいものです。逆にいえば、前兆を知らないまま過ごすと、気づいたときには巣がほぼ完成していたということも起こります。春先の数週間だけでも、軒先や玄関まわりを意識して眺めてみると、見通しが立てやすくなります。
本州では何月ごろから巣作りが始まるのか
本州の多くの地域では、ツバメは3月下旬から4月にかけて姿を見せはじめます。
飛来してすぐに巣作りを始めるわけではなく、まずは周辺の様子を確かめながら、巣を作る場所を探します。
そのため、巣作りが本格的になるのは4月から5月ごろという家が多いようです。
地域によって時期は前後します。おおまかな目安を表にまとめました。
| 地域の目安 | 飛来のころ | 巣作りが目立つころ |
|---|---|---|
| 九州・四国の暖かい地域 | 3月上旬〜中旬 | 3月下旬〜4月 |
| 関西・関東など本州の平地 | 3月下旬〜4月上旬 | 4月〜5月 |
| 東北・標高の高い地域 | 4月中旬ごろ | 4月下旬〜5月 |
| 北海道 | 4月下旬〜5月 | 5月〜6月 |
年ごとの気温や天候によって、数日から1〜2週間ほどずれることもあります。
前の年に巣があった場所には、早めに戻ってくる様子が見られることもあります。
その年の春が暖かいかどうかも、飛来の時期に影響すると言われています。春先に寒の戻りが続いた年は、姿を見かけても巣作りが少し遅れる傾向があるという声もあります。
身近な目安として、地域の桜の開花時期とあわせて覚えておく方法があります。桜の開花が早い年はツバメの姿も早めに見られることが多い、という話を聞くことがありますが、あくまで目安であり、年によって例外もあります。
また、最初に見かけたツバメが必ずしもその家に巣を作るとは限りません。先に到着した個体が通過していくだけの場合もあれば、遅れて到着した別のつがいが巣を作る場合もあります。「見かけた日」だけでなく、「その後の数日間、同じ場所に姿があるか」を見ることが大切です。
日付を記録しておくと、翌年以降の予測に役立ちます。カレンダーやスマートフォンのメモに、初めて見かけた日、泥を運びはじめた日、卵を確認した日などを書き留めておくと、その家ならではの時期がつかめてきます。
前兆から巣ができるまで、どれくらいの日数がかかるのか
巣作りの前兆が見られてから巣が形になるまでは、おおむね1〜2週間前後が一つの目安です。
ただし、天候や泥の集めやすさ、新しく作るのか前年の巣を直すのかによって、日数は大きく変わります。
雨が続くと作業が進みにくく、泥が乾きやすい晴れの日が続くと進みやすいという声があります。
一般的な流れを、順番に整理してみます。
- 飛来して、周辺を飛び回りながら場所を探す
- 候補の場所に何度も止まり、様子を確かめる
- 泥と枯れ草を運び、土台を作る
- 巣の形が整い、内側に羽毛や草を敷く
- 産卵が始まる
前年の巣が残っている場合は、補修だけで済むため、数日で使える状態になることもあるようです。
新しく作る場合は、泥を少しずつ積み重ねて乾かしながら進めるため、時間がかかります。1日に作業できる量には限りがあり、午前中に集中して泥を運ぶ様子がよく見られると言われています。泥の粒がまだ湿っているうちに積み上げ、乾いたら次の段を重ねる、というくり返しです。
巣が形になったあとも、すぐに卵を産むとは限りません。内側に枯れ草や羽毛を敷き込む作業が続き、その後に産卵が始まります。産卵から巣立ちまでは、一般に1か月前後かかるとされています。つまり、前兆の確認から巣立ちまでを通して見ると、おおよそ1か月半から2か月ほどの付き合いになる計算です。
巣を作らせたくない方にとっては、この最初の1〜2週間が対応しやすい時期です。
逆に、巣を見守りたい方にとっては、準備を整えておく大切な期間になります。たとえば、巣の下に敷く受け皿を用意したり、玄関の出入りの動線を見直したりするのは、巣が完成する前のほうが落ち着いて進められます。
日数の目安を、状況ごとにまとめておきます。
- 新しく巣を作る場合:1〜2週間前後、天候によってはそれ以上かかることもある
- 前年の巣を補修する場合:数日〜1週間ほどで使える状態になることがある
- 雨が続く時期:泥が乾きにくく、作業が止まりやすい
- 作りかけで中断する場合:場所が合わず、別の場所へ移ることもある
いずれも目安であり、実際の経過は家ごとに異なります。数字にこだわりすぎず、「今は土台づくりの段階か」「もう内側を整えている段階か」といった進み具合をおおまかに見ておくと、判断がしやすくなります。
巣作り前に見られるサイン

ツバメは、巣を作る場所を決めるまでに、いくつか特徴的な行動を見せます。
行動のサインと、そのあとに残る痕跡のサインに分けて見ていくと、わかりやすくなります。
ここでは5つのサインを順に紹介します。複数当てはまるほど、その場所が候補になっている可能性が高まると考えられます。
ひとつだけで判断せず、数日間続けて観察してみてください。
観察のコツは、朝と夕方の2回、同じ場所をしばらく眺めてみることです。ツバメは日中の暑い時間帯より、涼しい時間帯に活発に動くことが多いと言われています。家の中から窓越しに見れば、ツバメを驚かせずに様子を確認できます。
なお、ツバメは警戒心が強い一面もあります。じっと見つめたり、近づきすぎたりすると、その場所を避けてしまうこともあるため、観察は少し離れたところから静かに行うのがおすすめです。
同じ軒先を何度も行き来し、壁や梁に止まる
もっとも気づきやすいのが、同じ場所を何度も出入りする行動です。
軒先や玄関の天井付近をくり返し飛び、壁の上のほうや梁、電線などに止まって周囲を見回します。
この動きは、巣を支える足場になるか、雨や風を防げるかを確かめているものと考えられています。
1日だけ立ち寄ったのであれば、通りがかりの休憩かもしれません。
数日続けて同じ場所に戻ってくるときは、候補として見られている可能性があります。
朝や夕方に特に多く見られるという声もあります。
見分けのポイントとして、ただ飛び過ぎるだけなのか、軒下に入ってきて天井の近くで向きを変えているのかを見てみてください。軒下にすっと入り、壁面に近づいて、また外へ出ていくような動きをくり返す場合は、足場を探している可能性があります。
また、電線や物干し竿、アンテナなど、巣の近くの見晴らしのよい場所に止まって、軒先をじっと見ている様子が見られることもあります。これは、安全かどうかを離れた場所から確認しているのかもしれません。
この段階では、まだ巣を作ると決まったわけではありません。ただ、巣を作らせたくない場合には、最初の行動に気づいた時点で対策を考え始めると、選べる方法が増えます。
つがいで下見をするように鳴き交わす
2羽で並んで止まり、さえずるように鳴き交わす様子も、前兆のひとつです。
オスとメスがそろって場所を見て回り、お互いに確認しているように見えることがあります。
鳴き声が普段より増えたと感じる時期は、巣作りの場所選びが進んでいるのかもしれません。
早朝から軒先で声が聞こえはじめたら、近くで下見をしているサインとして受け取ってよいでしょう。
ただし、鳴き交わしがあっても、最終的に別の家へ移ることもあります。
ツバメのさえずりは、軽やかに続く声で、「チュビチュビ」と表現されることがあります。朝の早い時間は特に聞こえやすく、窓を開けた瞬間に気づく方も多いようです。
2羽が寄り添うように止まっている場合は、すでにつがいが成立している可能性があります。一方、1羽だけが盛んに鳴いている場合は、相手を探している段階かもしれません。つがいが成立してから巣の場所を決めることが多いと言われているため、2羽そろって現れるようになったら、巣作りが近づいている目安と考えられます。
鳴き交わしの時期は、まだ泥の運搬が始まっていないことも多く、物理的な痕跡は残りません。そのため、気づかないまま過ぎてしまうこともあります。春先は、ときどき耳を澄ませてみるのも一つの方法です。
泥や枯れ草をくわえて飛んでいる
くちばしに泥や枯れ草をくわえて飛んでいる姿は、巣作りが始まる直前、または始まった合図です。
この様子が見られたら、その方向に巣の場所があるかもしれません。
泥は水辺や田んぼ、水たまりの近くで集められ、何度も往復して運ばれます。
運んだ先が自宅の軒先であれば、巣を作る場所として選ばれている可能性が高いといえます。
巣作りを避けたい場合は、この段階でもまだ間に合うことがあります。早めに対応を考えましょう。
泥をくわえているときのツバメは、くちばしの先が少し黒ずんで見えることがあります。飛び方も、獲物を追うときの素早い動きとは違い、材料を落とさないように慎重に飛ぶように見えるという声もあります。
運ばれる材料は、泥だけではありません。巣の補強のために細かく刻まれた枯れ草や藁(わら)が混ぜられ、泥が崩れにくくなるよう工夫されています。巣の内側には、のちに羽毛や柔らかい草が敷かれます。
泥を運ぶ頻度が高い日は、1時間に何度も同じ場所を往復します。この往復がしばらく続いたら、巣作りがかなり進んでいるサインです。もし巣を作ってほしくない場所であれば、翌日以降の泥の積み上がり具合をこまめに確認し、できるだけ早い段階で対策を始めてください。
反対に、巣を残して見守りたい方は、この時期から巣の下の汚れ対策を準備しておくとスムーズです。
壁や天井に泥の小さな塊がついている
目で見える痕跡として、壁や天井に泥の小さな塊がつくことがあります。
これは巣の土台づくりの最初の一歩で、ツバメが泥を押し当てて足場を作ろうとしている状態です。
はじめは数ミリから数センチの小さな点のように見え、日がたつと少しずつ積み上がります。
最初は雨だれや汚れと見分けにくいこともあります。
次のような点を確認すると、見分けやすくなります。
- 壁と天井の角や、梁の上など、出っ張りの近くについている
- 粘土のように固まり、指で触れるとやや盛り上がっている
- 日をおいて見ると、少し大きくなっている
土台ができかけの時期は、落として清掃しやすいタイミングでもあります。
泥がまだ湿っている状態であれば、ブラシや濡れた布で比較的簡単に取り除けます。一方、数日たって乾き固まってしまうと、水を含ませてやわらかくしてからでないと落としにくくなります。
また、泥の塊のつき方には特徴があります。ツバメの泥は、くちばしで運んだ小さな粒を横に並べるように積み重ねるため、表面にうろこのような細かい段差が見えることがあります。蜂の巣や雨染みとは違い、一粒ずつ積まれたような質感がある点が目印になります。
塗装した壁や木材の場合、泥を落とした跡が残ることもあります。強くこすりすぎると素材を傷めることがあるため、まずは目立たない場所でやさしく試してください。
足元に糞が落ちはじめる
軒先の下の地面や玄関まわりに、白っぽい糞が落ちはじめるのも、前兆のひとつです。
ツバメが同じ場所に繰り返し止まっていることを示すため、巣の候補になっている目安になります。
糞は、巣ができたあとに量が増える傾向があります。
その前の段階で気づければ、掃除や受け皿の準備を早めに進められます。
玄関前や車の上など、汚れが気になる場所の場合は、様子を見ながら対策を考えておくと安心です。
糞が落ちている位置を観察すると、ツバメがどこに止まっているかを推測できます。真上の梁や照明の上に止まっているのか、少し離れた電線なのかによって、対策する場所が変わってきます。
糞が乾くと固まって落ちにくくなり、地面や床材にしみが残ることもあります。見つけたら、早めに拭き取っておくと後始末が楽になります。水で濡らした古布やペーパーでやさしく取り、そのあと水拭きをしておくと、においも残りにくいでしょう。
鳥の糞は、乾燥した状態で粉じんを吸い込まないよう注意したいものです。掃除のときは、マスクと手袋を着けて、作業後はしっかり手洗いをしてください。
ツバメに選ばれやすい家の条件

ツバメは、どの家にも同じように巣を作るわけではありません。
安全に子育てができるかどうかを、場所の環境から判断していると考えられています。
ここでは、選ばれやすいと言われる3つの条件を紹介します。
当てはまる条件が多いほど、毎年戻ってきてくれる可能性もあるようです。
これらの条件は、家の新しさや大きさとは直接関係がありません。古い木造の家でも、新築のマンションの共用廊下でも、条件が合えば巣が作られることがあります。反対に、立派な家でも、足場がなかったり人の気配が少なかったりすると、選ばれにくいことがあります。
自宅がどれくらい当てはまるかを知っておくと、巣を迎える準備にも、巣を避ける対策にも役立ちます。
雨風を避けられる軒や天井の出っ張りがある
ツバメの巣は泥で固めて作るため、雨に直接当たると崩れやすくなります。
そのため、雨風が入りにくい軒下や、天井が張り出した場所が好まれるようです。
巣を支える足場として、梁、照明器具の上、壁の凹凸なども使われます。
玄関ポーチ、車庫、倉庫の入り口、店舗の庇(ひさし)などは、特に条件が合いやすい場所です。
壁面がざらざらしていて泥がつきやすいことも、選ばれる理由のひとつと考えられています。
反対に、壁がつるつるしていると、泥が付きにくく敬遠されることもあるようです。
巣の高さにも傾向があり、地面から2〜3メートルほどの、人の頭より高い位置に作られることが多いと言われています。高すぎると出入りに不便で、低すぎると外敵に近づかれやすいため、ちょうどよい高さが選ばれると考えられます。
風向きも関係すると言われています。強い風が吹き込む北向きや、雨が吹き込みやすい開放的な場所よりも、風が回り込みにくい奥まった場所のほうが、安心できるようです。
たとえば、次のような場所は条件が合いやすいと考えられます。
- 玄関の庇の内側にある、壁と天井の角
- 車庫や物置の天井にある梁や配線のそば
- 照明器具やインターホンの上のわずかな出っ張り
- 駐輪場や渡り廊下など、屋根のある通路の天井付近
こうした場所は、人にとっても使いやすい場所のため、ツバメと生活空間が重なりやすい点を知っておくとよいでしょう。
外敵が近づきにくく、人の出入りがある
ツバメは、カラスやヘビ、ネコなどの外敵から卵やヒナを守る必要があります。
そのため、人の出入りがある場所は、外敵が近づきにくいと判断されて選ばれやすいと言われています。
人が行き来する玄関や店先に巣を作るのは、そうした理由からと考えられます。
また、巣の位置が高く、地面から手が届きにくいことも、ひとつの条件です。
ツバメは人の気配にある程度慣れる鳥ですが、あまりに騒がしかったり、頻繁に驚かされたりする場所は避けることもあるようです。
前年に無事に子育てができた場所には、翌年も戻ってくる傾向があると言われています。
人の出入りがほどよくある場所は、カラスなどが警戒して近寄りにくいという見方があります。一方で、夜間まで強い光が当たる場所や、大きな音が常に鳴る場所は、ヒナにとって落ち着かない環境になるかもしれません。
ネコやヘビが登りにくい壁面かどうかも、ひとつの目安です。壁がなめらかで足がかりが少ない場所のほうが、外敵が近づきにくいと考えられます。
巣を残して見守る場合は、外敵対策も意識しておくと安心です。たとえば、ネコが近づきそうな場所に物を置いて足場を作らないようにしたり、夜間は軒下に近づかないよう家族で声をかけ合ったりする方法があります。
田んぼや水辺が近く、泥と虫が手に入る
巣の材料となる泥と、ヒナのえさになる飛ぶ虫が近くで手に入るかどうかも、大切な条件です。
田んぼ、川、池、水たまりのある場所の近くは、泥を集めやすく、虫も飛んでいます。
巣と材料の場所が近いほど、往復の時間が短くなり、作業も進みやすくなります。
住宅街でも、近くに公園や用水路、畑があれば、条件が合うことがあります。
選ばれやすさの目安を、表にまとめました。
| 条件 | 選ばれやすい状態 |
|---|---|
| 雨風 | 軒や庇が張り出し、直接濡れにくい |
| 足場 | 梁や壁の凹凸があり、泥がつきやすい |
| 安全 | 人の出入りがあり、外敵が近づきにくい |
| 環境 | 田んぼや水辺が近く、泥と虫が手に入る |
自宅がいくつ当てはまるかを確認すると、今後の見通しが立てやすくなります。
ツバメは飛びながら虫を捕まえる鳥です。ヒナが育つ時期には、親鳥が1日に何十回、何百回ともえさを運ぶと言われています。そのため、周辺に虫が少ない環境では、子育ての負担が大きくなると考えられます。
近年は、水田の減少や舗装の増加により、泥が手に入りにくい地域もあります。そうした地域では、巣作りに時間がかかったり、他の場所へ移ったりすることがあるようです。反対に、田んぼのそばの農家や、川沿いの住宅では、毎年のように巣が見られることもあります。
周囲の環境は、家の工夫で変えにくい部分です。だからこそ、足場や雨風といった家の条件とあわせて見て、全体としてどれくらい巣を作られやすいかを判断するとよいでしょう。
巣を作られたくない場合に前兆の段階でできること
巣を作られたくない場合は、前兆が見えた早い段階で動くことがもっとも大切です。
巣が完成して卵が産まれてしまうと、できる対応が大きく限られるためです。
ここでは、無理のない範囲で取り組める3つの方法を紹介します。
ツバメに危害を加えるのではなく、止まりにくい環境を整えるという考え方で進めましょう。
対策を始める前に、まず「どの場所に巣を作られると困るのか」を整理しておくと、対応が絞りやすくなります。玄関の真上なのか、車の上なのか、窓の近くなのかによって、必要な対策の範囲が変わるためです。
また、1つの方法だけに頼らず、複数を組み合わせるほうが続けやすいと言われています。足場をふさぎ、ネットを張り、泥の跡を掃除する、といった具合に、できることを重ねていくイメージです。
対策のタイミングと内容を、目安として整理しておきます。
| 時期 | できること |
|---|---|
| 飛来の少し前(2〜3月ごろ) | 足場の確認、出っ張りをふさぐ準備、ネットの取り付け |
| 飛来直後〜前兆の時期 | 行動の観察、泥の跡の掃除、止まり場所の見直し |
| 作りかけの段階 | 卵やヒナがいないことを確認したうえで、対応を検討 |
止まり場所になる出っ張りをふさぐ
ツバメが巣を作る足場になるのは、梁、照明の上、壁の角、配管まわりなどの出っ張りです。
こうした場所を、あらかじめ平らにしたり、ふさいだりしておくと、足場として使いにくくなると紹介されています。
たとえば、傾斜をつけた板を取り付けて、巣を置く面を作らせないという方法があります。
壁と天井の角には、すき間を埋めるように板や素材を当てる家庭もあるようです。
作業は高い場所になることが多いため、脚立を使うときは安定した場所で、無理をしないようにしてください。
難しい場合は、家族や詳しい方に手伝ってもらうと安心です。
ふさぐ素材としては、薄い板、プラスチック製の板、斜めに切った角材などが挙げられます。ホームセンターで手に入るものを使えば、費用も抑えやすいでしょう。なお、見た目や耐久性を考えて、屋外で使える素材を選ぶのがおすすめです。
取り付けのときは、ツバメが足をかけられる平らな面を残さないことが大切です。わずか数センチの出っ張りでも、泥を重ねる土台として使われることがあります。取り付け後に、下から見上げて、足場になりそうな面が残っていないかを確かめてください。
賃貸住宅や集合住宅の場合は、共用部分に手を加える前に、管理会社や管理組合へ確認しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。壁に穴を開けたり、接着剤で固定したりする場合は、特に注意が必要です。
ネットや防鳥グッズを早めに取り付ける
ツバメが入り込めないように、軒先にネットを張る方法もあります。
ネットは、すき間なく張らないと、ツバメが隙間から入ってしまうことがあります。
ネットの端にからまって、ツバメがけがをしないよう、目の細かさや張り方に注意してください。
そのほか、光を反射するものや吊り下げ式の防鳥グッズが使われることもあります。
ただし、慣れてしまうと効果が薄れるという声もあります。
取り付けるタイミングは、ツバメが飛来する少し前から前兆の時期が目安です。
巣作りが始まってからでは、ツバメが場所に執着して離れにくくなることがあるため、できるだけ早めが向いています。
ネットを張るときは、たるみが出ないようにしっかり固定することがポイントです。たるんだ部分に鳥が入り込み、出られなくなる事故を防ぐためにも、定期的に点検しましょう。
防鳥グッズは、種類によって向き不向きがあります。光を反射するタイプは、風や日差しで動くことで警戒させる仕組みですが、設置したままにすると慣れが出やすいと言われています。位置を時々変えるなど、工夫してみる方法もあります。
設置後も、ツバメが近くに止まったり、すき間を探したりしていないかを数日間観察してください。もし新しい足場を探して別の場所に近づいているようなら、その場所にも対策を広げることを検討します。
なお、ネットやグッズで追い払う対策は、あくまで巣を作られる前の段階で行うものです。すでに卵やヒナがいる場合に取り付けると、親鳥が巣に戻れなくなるおそれがあるため、絶対に行わないでください。
泥がつき始めた場所をこまめに掃除する
壁や天井に泥の塊がつき始めたら、その段階で取り除いておくのも一つの方法です。
泥の跡が残ったままだと、その場所が「巣を作れる場所」として目印になることがあるためです。
ほうきやブラシ、濡らした布などで、泥が固まりきる前にやさしく落とします。
毎日少しずつ確認し、同じ場所に戻ってくるようなら、足場をふさぐ対策も組み合わせると良いでしょう。
掃除のあとは、水で濡れた場所をよく乾かしておくと、泥がつきにくくなると言われています。
糞が落ちた場所も、乾く前に拭き取ると、後始末が楽になります。
鳥の糞を扱うときは、マスクや手袋を使い、作業後は手を洗うようにしましょう。
掃除の手順を簡単にまとめると、次のようになります。
- 巣の中に卵やヒナがいないことを、離れた場所から確認する
- マスクと手袋を着け、足元の安全を確保する
- 乾いた泥は、水を含ませてやわらかくしてから、ブラシやヘラで落とす
- 落とした泥や糞は、袋に入れて、自治体のルールに沿って処分する
- 仕上げに水拭きをして、乾かす
壁の素材によっては、強くこすると傷がつくことがあります。塗装の剥がれや汚れが気になる場合は、目立たない場所で試してから、全体を掃除してください。
掃除は一度で終わりではなく、前兆の時期は毎日、あるいは1日おきに確認するのがおすすめです。泥を落としてもまた運ばれてくる場合は、その場所をツバメが強く気に入っている可能性があるため、足場をふさぐ対策に進むことも考えましょう。
巣ができてしまったときの考え方

前兆の段階で対応できなかった場合や、気づいたときには巣ができていた場合もあるでしょう。
そのときは、巣の状態によって考え方が変わります。
焦って巣を落とす前に、まず巣の中に卵やヒナがいないかを、離れた場所から確認してみてください。
ここでは、状況ごとの考え方を整理します。
巣ができた時点で、「困った」と感じる方もいれば、「見守りたい」と感じる方もいるでしょう。どちらの気持ちも自然なものです。大切なのは、ツバメの子育ての状況を把握したうえで、無理のない選択をすることです。
状況の見分け方として、次の段階を意識しておくと整理しやすくなります。
- 泥の塊がついただけの段階:土台づくりの初期
- お椀のような形になったが、親鳥が出入りしていない段階:巣の形は整ったが、まだ使われていない可能性
- 親鳥が頻繁に出入りし、巣の中で抱卵している様子がある段階:卵がある可能性が高い
- 巣の中から小さな声が聞こえる段階:ヒナがいる可能性が高い
巣の中は下から見えにくいため、卵やヒナの有無を自分で確かめようとして巣に触れたり、のぞき込んだりするのは避けてください。親鳥が警戒して、巣を離れてしまうことがあります。
卵やヒナがいる巣は撤去できないのはなぜか
日本では、ツバメを含む野鳥は法律で保護されており、卵やヒナがいる巣を勝手に落とすことは認められていません。
卵やヒナのいる巣を、自己判断で壊したり撤去したりするのは避けてください。
子育ての最中の巣は、ツバメにとって命にかかわる大切な場所だからです。
もし、どうしても困る事情がある場合は、お住まいの市区町村や、野鳥に関する窓口に相談するのが安心です。
法律の細かな扱いは、状況によって変わることがあるため、ここでは詳しい判断は控えます。
ヒナが巣立つまでは、おおむね1か月前後かかります。
巣立ったあとに、次の年に向けた対策を考える方も多いようです。
ツバメは、1シーズンに2回、子育てをすることがあると言われています。最初の子育てが終わったあと、同じ巣や近くの場所で2回目の産卵に入る場合もあるため、「巣立ったからもう大丈夫」と思い込まず、しばらくは様子を見ておくと安心です。
巣を見守ることを選ぶ場合の心がまえとして、親鳥はヒナへのえさやりで1日に何度も出入りします。その出入り口をふさがないこと、近くで大きな音を立てないこと、巣の真下で長く立ち止まらないことなどを意識すると、ツバメの負担を減らせます。
家族や近所の方にも、巣の存在を共有しておくと、うっかり巣を揺らしたり、出入りの邪魔をしたりすることを防げます。お店や会社の場合は、従業員の間でも情報を伝えておくとよいでしょう。
作りかけの段階ならどう対応できるのか
泥の塊がついた程度の、作りかけの段階であれば、卵やヒナがいないことを確認したうえで、土台を取り除く対応が考えられます。
ただし、判断に迷う場合は、市区町村などに確認すると安心です。
確認のポイントを、順番にまとめます。
- 巣の中に卵やヒナがいないか、離れた場所から数日観察する
- 親鳥が巣に出入りしていないかを確かめる
- 迷う場合は、自治体などの窓口に相談する
- 取り除いたあとは、同じ場所に足場を作らせない対策を行う
巣を取り除いても、ツバメは別の場所に作り直すことがあります。
そのため、足場をふさぐ、ネットを張るなどの対策を、続けて行うことが大切です。
一方で、巣を残して見守りたい場合は、親鳥が安心して出入りできるよう、そっとしておきましょう。
作りかけかどうかを見極めるときは、泥の量と形が目安になります。わずかな泥の点がいくつか並んでいるだけなら、土台づくりの初期と考えられます。一方、お椀の縁のような立ち上がりができている場合は、すでに巣の形が整っている可能性があるため、より慎重に判断してください。
観察の期間は、数日では不十分に感じることもあります。親鳥が出入りしていない巣でも、ほかの用事で一時的に離れているだけの場合があります。朝、昼、夕方と時間帯を変えて確認すると、見落としを減らせます。
取り除くときは、巣材を処分する前にもう一度、中身を確認してください。作業は、ツバメがいない時間帯に、短時間で済ませるのが基本です。取り除いたあとは、再びその場所に泥が運ばれていないかを数日間確認し、必要に応じて追加の対策を行いましょう。
糞の被害を抑える受け皿の工夫
巣を残すことにした場合、悩みやすいのが糞の汚れです。
巣の真下に受け皿を取り付けると、地面や床の汚れをかなり減らせるという声があります。
受け皿には、板、トレー、段ボールなど、家にあるものを使うこともできます。
雨に濡れても崩れにくいものを選ぶと、手入れがしやすくなります。
取り付けのコツをまとめます。
- 巣の真下から少し広めに、糞が落ちる範囲を覆う
- 巣やツバメの出入りの邪魔にならない位置にする
- こまめに取り外して洗い、清潔に保つ
- 作業はツバメが巣にいない時間帯に、短時間で行う
掃除のときは、マスクや手袋を使い、作業後は手洗いをしてください。
ヒナが巣立ったあとは、巣を撤去するかどうか、次の春に向けて考えることができます。
受け皿は、巣からの距離にも気を配ります。近すぎるとツバメが落ち着かず、遠すぎると糞が受け皿に届かず、周囲を汚してしまいます。巣の下に新聞紙を敷いて、数日間、糞が落ちる範囲を観察してから、受け皿の大きさを決める方法もあります。
ヒナが大きくなると、糞の量も増え、落ちる範囲も広がります。巣立ちが近づいたら、受け皿のサイズや位置を見直すのも一案です。ヒナが巣のふちから身を乗り出して糞をするようになるため、巣の真下だけでなく、少し外側にも落ちることがあります。
玄関まわりに巣がある場合は、人の出入りを妨げないように、受け皿の高さや張り出しを調整してください。頭をぶつけたり、荷物が当たったりしないよう、安全面にも配慮しましょう。
お店の入り口などでは、「ツバメが子育て中です」という小さな掲示を出している例もあります。来客にも事情が伝わり、巣を見守る温かい雰囲気づくりにもつながるようです。
ツバメは毎年同じ場所に戻ってくることがあり、昔から縁起の良い鳥として親しまれてきました。
前兆に早く気づいて、ご自宅に合った付き合い方を選んでみてください。

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